フッ化炭素系界面活性剤と炭化水素系界面活性剤との混合液の性質

抄録

フッ化炭素系界面活性剤,ペルフルオロ-1-オクタンスルホン酸リチウム(LiFOS)を炭化水素系界面活性剤,硫酸ドデシル=リチウム(LiDS)に添加したとき,ケト-エノール互変異陸体化合物,(ベンゾイルアセト)アニリド(BZAA)のケト-エノール互変平衡を用いて炭化水素系界面活性剤のミセル形成について調べた。混合水溶液中のBZAAの吸収スペクトル変化はLiFOSの代わりに1/2 Li₂SO₄をLiDS水溶液に添加した結果と混合系の電気電導度の結果と相応して評価した。その結果から,LiFOS,LiDSが共に低濃度範囲で通常の炭化水素系界面活性剤の混合系に見られるような混合ミセルは形成されず,混合水溶液中のLiFOSとLiDSは相互に塩として作用しあった。また,両界面活性剤濃度が高濃度範囲では混合ミセルを形成するが,炭化水素系界面活性剤同士の混合系と異なり混合ミセル形成時に異常に高い電気電導度値を示した。