種々のフミン酸溶液の表面張力を測定した。相模湾, 駿河湾の海洋たい積物から0.5NNaOHで抽出した海洋フミン酸は, 市販の陸成フミン酸に比べて高い界面活性を示す。表面張力と海洋フミン酸濃度との関係から, 表面張力は濃度の対数とともに直線的に減少し, 濃度0.1%で約40dyn/cmの一定値に達する。この0.1%折れ曲り点は, イオン性界面活性剤のように塩の添加によって低濃度に移動する。折れ曲り点の存在と, それに対する塩の効果から, 海洋フミン酸の会合が示唆される。
海洋フミン酸を限外濾過によって分画し, それぞれ分画分の表面張力を測定した。その結果, 試料の75%を占める高分子量部分が高い界面活性を示し, 表面張力-濃度曲線には0.1%に折れ曲がり点がみられる。
3種類のゲルを用いてフミン酸の高速液体クロマトグラフ分析をすると, フミン酸は広い分子量分布をもった混合物であることが示される。クロマトグラフ的分子サイズの分布は限外炉過の結果と大体一致した。海洋フミン酸のクロマトグラムから, 高分子量成分の親水性が低く, この弱い親水性が高分子量成分に界面活性を与えていると思われる。