油化学
Online ISSN : 1884-2003
ISSN-L : 0513-398X
Lepidocybium flavobrunneumの種々の組織中の脂質組成
川井 信子中山 行穂松岡 貞男森 俊隆
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1985 年 34 巻 1 号 p. 25-31

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抄録

Lepidocybium flavobrunneum (すみやき科=くろたちかます科, 和名 : あぶらそこむつ, 筋肉脂質に大量のワックスエステルを含む) の種々の組織 (筋肉, 腸管, 幽門垂, 肝臓, 心臓, じん臓, 卵巣, 腸内容物) の脂質組成について検討した。筋肉, 幽門垂及び肝臓は大量の脂質を含む。筋肉, 幽門垂, 腸管及び腸内容物の脂質は, 大量の不けん化物を含む (high unsap. tissue) が, 心臓, じん臓, 卵巣及び肝臓の脂質は少ししか含まない (low unsap. tissue) 。特に, 肝臓は3.5%しか含まない。
high unsap. tissueの脂質は主にワックスエステルで, 不けん化物は脂肪族アルコールであった。ワックスエステルの種々の組織に対する局在性がみられた。18 : 1脂肪酸は, 種々の組織のワックスエステルフラクションの主な脂肪酸成分であった。しかし他の脂質フラクションでは, 16 : 0と22 : 6脂肪酸が18 : 1脂肪酸と比較し得るほど存在した。16 : 0と18 : 1脂肪族アルコールは, ワックスエステル及び遊離アルコールフラクションで主なアルコール成分であった。low unsap.tissue (特に肝臓) は, 大量の遊離脂肪酸が含まれるがこれはトリグリセリドが冷凍保存中に加水分解されて形成されたものと考えられる。

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