油化学
Online ISSN : 1884-2003
ISSN-L : 0513-398X
スフインゴシン塩基のN-アシル
O-TMS誘導体の簡易調製法
平田 博文Alemka KISICJohn BRABSONGeorge J. SCHROEPFER JR
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1985 年 34 巻 3 号 p. 178-183

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抄録
スフィンゴシン塩基の分析は一般にN-アセチルO-TMS誘導体としてGLCやGLC-MSによって行われるが, その化合物の簡便な調製法は今までに報告されていない。
本報ではスフィンゴシン塩基の準アシルO-TMS誘導体の簡易調製法について検討した。スフィンゴシン塩基とHMDS+TMCS/ピリジンとの反応から生ずるO-TMS誘導体と酸無水物とを反応させると目的のN-アシル化が起こり, N-アシルO-TMS化合物が得られた。BSA/アセトニトリルとの反応から生ずるN, O-TMS体は, N-TMS基がアミノ基の保護基として作用するため, 酸無水物とは反応しなかった。上記のN-アシルO-TMS化反応について数種のスフィンゴ塩基について検討したところ, すべての場合について起こることが認められた。生成物の構造はGLC, GLC-MSから決定した。合成したCn-ジヒドロスフィンゴシン (n=12, 14, 16) をN-アシルO-TMS体とし, そのerythro/threo比を求めたところ, 従来法で求めた結果 (BSAを用い, N, O-TMS体としGLCで定量) と一致した。本報の特色は, スフィンゴシン塩基のNアシルO-TMS体が簡便に調製でき, かつ, 短時間の反応で行うことができる点にある。しかも, GLC-MSの分析の際, スフィンゴシン塩基のN-アシル体を別途合成することなく, O-TMS体とN-アシルO-TMS体両方の測定ができる利点がある。
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© 公益社団法人 日本油化学会
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