1986 年 35 巻 1 号 p. 18-24
DL-erythro-及びDL-threo-Cn-ジヒドロスフィンゴシン (n=12, 14, 16) を相当する2-アミノ-1, 3-アルカンジオールのN, O, O-トリアセチル及びN-アセチル誘導体を再結晶することにより分離できた。DL-threo-及びDL-erythro-Cn-ジヒドロスフィンゴシンを骨格に持つセラミドは, これらの塩基とN-アシロキシスクシンイミドをテトラヒドロフラン中で反応させて得た。threo体とerythro体のMSスペクトルの差異を調べるため, このセラミドのO, O-di-TMS誘導体のGC-MSの分析を行った。最も顕著な違いはm/e=M-103の相対強度 (RI) に見られた, すなわち, threo体ではRI=40~80%, erythro体ではRI=6~14%と, 前者の方が後者に比べて数倍高い。また, RI(M-103)/RI(M-15) は, threo体では3.7~6.8であり, erythro体では0.8~1.3であった。以上の結果から, 質量分析によってジヒドロスフィンゴシンのerythro, threoが決定できることがわかった。