油化学
Online ISSN : 1884-2003
ISSN-L : 0513-398X
トリグリセリド中に濃度を変えて加えたBHAの高温における酸化的二量化
藤谷 健
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1989 年 38 巻 8 号 p. 654-657

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抄録
飽和及び不飽和のトリグリセリドの熱酸化に伴うBHAの酸化的分解とその二量体の生成を, BHAの初濃度との関連のもとに検討した。
BHAは飽和トリグリセリド中における酸化に対しては非常に安定で, わずかのBHAが二量体, とくにジフェニルエーテル型二量体まで酸化されるだけであった。BHAの初濃度を低くすると, 少量のBHAは二量体を経て更に酸化され, 酸化後の単量体と二量体の合計量は, BHAの初濃度を低くすると低下した。BHAの初濃度が低いときの反応混合物中に生成する二量体は, 初濃度が高い場合に比べて少なかった。
BHAを不飽和トリグリセリド中で熱酸化したときは, BHAはかなり不安定であった。酸化中のBHA単量体の安定性は, BHAの初濃度を下げるに従って低下し, 二量体の収量もまた低下した。BHAの初濃度が0.1%のときには, 単量体は反応混合物から急速に消滅し, 二量体は検出されなかった。
飽和及び不飽和トリグリセリドの混合物中におけるBHAの酸化的分解もまた, BHAの初濃度を低くすると速くなった。
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