抄録
平らな油/水界面の上または下に, 水滴または油滴を接触させ合一が起こるまでの時間を沢山の液滴について種々の温度で測定し, 液滴寿命の分布曲線の解析から, 液滴合一機構を解析した。
横軸に液滴の寿命tを, 縦軸にそれぞれの寿命を持つ液滴の数Nの対数をプロットした分布曲線は, 特徴的な二つの部分に分類される。液滴寿命が0からτまでの水平部分では, Nが約20で一定であるが, τ以上の寿命を持つ液滴の数の対数lnNは, 寿命tの増加と共に直線的に減少する。dlnN/dtで表される直線の勾配kは, 液滴合一の速度定数であるが, τの温度依存性から計算されるアレニウスの活性化エネルギーは, 液体の粘性の温度依存性から計算される流動の活性化エネルギーと一致して, 液滴合一の初期過程が二つの界面に挟まれた液体の流動支配であることが確認された。