1995 年 44 巻 6 号 p. 425-430
モノエン酸, ジエン酸, トリエン酸の幾何及び位置異性体をFe2+-アスコルビン酸を触媒として水溶液中で酸化させた。各脂肪酸の酸化安定性は基質の減少量を測定することにより比較検討した。ジエン酸とトリエン酸の場合, そのトランス異性体とシス異性体間で酸化安定性に差が認められたが, モノエン酸ではトランス体とシス体はほぼ同じ酸化安定性を示した。モノエン酸の安定性は, 有する二重結合がメチル末端に近い程, また, 鎖長の短い程増大した。酸化安定性に対する同じような鎖長の影響はトリエン酸でも見られた。水溶液中では, オレイン酸はリノール酸より酸化に対して安定であったが, α-リノレン酸よりは酸化されやすかった。この結果は空気中にそれら不飽和酸を放置した場合と全く異なっていた。また, ノンメチレンインタラプテッド型ジエン酸及びトリエン酸の水溶液中での酸化安定性も空気中の場合と異なっていた。