日本油化学会誌
Online ISSN : 1884-1996
Print ISSN : 1341-8327
ISSN-L : 1341-8327
スフィンゴ脂質代謝を介した細胞内情報伝達機構
特にスフィンゴシンの生理作用とアポトーシス誘導を中心として
五十嵐 靖之
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 46 巻 10 号 p. 1095-1107

詳細
抄録
細胞膜スフィンゴ脂質の代謝分解過程で造られるセラミドやスフィンゴシン等のリピド分子の果たす細胞情報伝達における役割が最近注目を集めている。筆者はこの9年間, シアトルにあるバイオメンブラン研究所 (箱守仙一郎所長) で, セラミド, スフィンゴシン及びその誘導体である, メチルスフィンゴシンやスフィンゴシン1-リン酸などの細胞, 生体における生理的役割や薬理的応用に関して研究を進めてきた。この小稿では, 前半で, スフィンゴ脂質代謝変動を介した細胞膜情報伝達機構の全体像を眺めた上で, それに対する筆者の意見やその新たな細胞生理学的意義付けを述べ, 後半の章で筆者らの研究のうち, スフィンゴシンとアポトーシス誘導に関する研究成果を中心に述べ, その中で, スフィンゴシン研究 (スフィンゴロジー) の現状と問題点, 更にスフィンゴロジーの21世紀へむけての展望を語ってみたい。
著者関連情報
© 公益社団法人 日本油化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top