日本油化学会誌
Online ISSN : 1884-1996
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天然界面活性物質の界面化学的性質とそのドラッグデリバリーシステムへの応用
山内 仁史
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1997 年 46 巻 2 号 p. 131-138

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抄録
本総説では, 油/水界面や脂質二分子膜中での天然界面活性物質 (脂質) の界面化学的性質について検討した。界面張力低下能, 混合単分子膜の圧縮率や崩壊圧, 混合二分子膜の透過率は用いたステロイドに依存した。リポソームの透過率や微視的流動性もまた, 脂質により影響された。
更に, 新規に合成した糖脂質やポリグリセリンリン脂質を用いて, リポソームの部位特異的ターゲティングや回避を検討した。乳糖モノアラキジン酸アミド修飾リポソームの肝臓への取り込みは, 無修飾リポソームに比べはるかに大きく, それは肝実質細胞の寄与によることが分かった。一方, 新規なシアル酸誘導体やポリグリセリンリン脂質は, リボソームの血中濃度を維持したり細網内皮系への取り込みを抑制した。リポソームのターゲティングや徐放化に対し, これらの脂質は有用であると考えられる。
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