日本油化学会誌
Online ISSN : 1884-1996
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ラットにおけるジアシルグリセリンの栄養学的特徴
渡邊 浩幸鬼沢 孝司田口 浩之小堀 真由美千葉 啓恵内藤 幸雄松尾 登安川 拓次服部 道廣島崎 弘幸
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1997 年 46 巻 3 号 p. 301-307

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抄録

ジアシルグリセリン (DG) は, 血清トリアシルグリセリン (TG) の上昇を抑制する脂質である。1, 3-DGと1, 2-DGから成るDGの栄養学的特徴を, ラットで検討した。DGとTGの間には, 消化及び代謝過程において, 明らかな違いが認められた。結果は次の通りである。 (1) 小腸内において, DGからはTGの消化物中にはほとんど見られなかった1-モノアシルグリセリンが生成した。 (2) DG投与後には, TGと比較して多量の脂肪酸が小腸から門脈へ放出された。 (3) DG摂取は, 肝臓での脂肪酸のβ酸化を促進し, ケトン体を尿中へ放出させた。 (4) ラットにおいて, DG投与後の酸素消費量は, TG投与後に比べて増加した。これらの結果から, DGはエネルギーとして利用されやすく, そのためTGと比較して体脂肪として蓄積しにくいものと考えられた。

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