日本油化学会誌
Online ISSN : 1884-1996
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抗炎症薬β-グリシルリチン酸塩と長鎖アルキルアンモニウム塩との混合ミセル形成
小出 操宇川 仁太小高 明人太垣 和一郎玉垣 誠三
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1997 年 46 巻 3 号 p. 315-322

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抄録

グリシルリチン酸二カリウム (GK2) は, 抗アレルギー・抗炎症の薬理作用を示すアニオン界面活性剤として知られているが, 混合ミセル形成の物理化学的性質についてはあまり明らかとなっていない。本研究では, 長鎖アルキルトリメチルアンモニウム臭素化塩 (Cn-TAB) の存在下, 光学活性なGK2とその20β位-カルボキシルメチルエステル (GMe) のエノン基近傍のミクロ環境場の極性を円二色性スペクトル法を用い調べた結果, Cn-TABのGK2類との混合ミセル形成能は, Cn-TABの炭素鎖長に依存することが明らかとなった。GK2類の疎水部とほぼ同じ炭素鎖長を持っC12-TAB, C14-TABが, GK2およびGMeと組成比が各々2 : 1, 1 : 1の最も安定なミセルを形成した。表面張力測定, ピレンプローブによる蛍光解析からも, これらの組成が支持された。さらに, 分子力場計算結果も実験事実と良く一致した。

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