抄録
n-3系高度不飽和脂肪酸に富む筋子リン脂質とサケ油の自動酸化に対するアスタキサンチンの酸化防止効果について, 30℃における自動酸化中の基質の過酸化物価 (PV), カルボニル価 (CV), アスタキサンチン残存率, トコフェロール残存率およびドコサヘキサエン酸残存率を追跡することにより試験した。
トコフェロールを500 ppmおよびトコフェロール500 ppmとアスタキサンチン690 ppmを添加したリン脂質群の誘導期は無添加群よりも, それぞれ2.4倍と3.6倍に延長された。アスタキサンチンは高度不飽和トリアシルグリセリンよりも高度不飽和リン脂質に対して, 効果的な酸化防止作用を示した。また, 高度不飽和リン脂質の自動酸化はアスタキサンチンとトコフェロールを併用することにより, 効果的に抑制できた。