日本油化学会誌
Online ISSN : 1884-1996
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カナダ産油糧種子における脂肪酸組成の改良
James K. DAUN
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1998 年 47 巻 3 号 p. 233-238,290

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抄録

キャノーラ種子 (Brassica napus L.) やナタネ種子 (B. rapa L.), 亜麻仁種子 (Linum usitissimum L.), ひまわり種子 (Helianthus annuus L.), マスタード種子 (Brassica juncea L.) および大豆 (Glycene max Merr.) などのカナダ産油糧種子に含まれる主要な脂肪酸組成はいろいろな品種改良によってその組成パターンがかなり変わってきた。キャノーラ種子の脂肪酸組成に対する改良は油脂の酸化安定性を向上させようという努力のなかで, オレイン酸含量が増加し, リノレン酸含量が低下したような品種を作ることが出来た。飽和脂肪酸やエルシン酸を多く含有する特殊な産物も作られている。リノレン酸含量の少ない亜麻仁種子の生産は, オーストラリヤで最初に分離されたのだが, カナダにおいて生産が進み, solinとして市場に出回るようになった。sunolaとして注目されているオレイン酸高含量の早熟ひまわり種子も同様に市場に出るようになってきた。キャノーラの脂肪酸組成と類似している改良マスタード種子油は供給量もその内増大するであろう。脂肪酸組成パターンに改良を加えた大豆の生産はアメリカ合衆国でも同時に行われている。改良した脂肪酸組成が他の脂質の含有量に与える影響, 特にトコフェノール, ステロール, 微量脂肪酸への影響に関するより詳しい知見が必要となっている。

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