日本油化学会誌
Online ISSN : 1884-1996
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植物エストロゲンとその核内レセプター
金子 秀雄
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1999 年 48 巻 10 号 p. 1049-1055,1198

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抄録

女性ホルモン様作用を有する植物エストロゲンは現在200種類が知られており, その中でもイソフラボン類のcoumestrol, genisteinおよびdaidzeinは強い活性を示す。これらのイソフラボン類は, エストロゲンレセプターに対して高い親和性を示す。イソフラボン類は, 内分泌撹乱作用で話題となっている合成化合物 (例 : bisphenol-A, 4-nonylpheno1) よりも強いエストロゲン作用 (in vitro) を示し, また, 日本人の場合は大豆製品を通じて大量のイソフラボン類を摂取しているために内分泌撹乱作用が議論されている。一方, イソフラボン類は骨粗巻症治療, 前立腺がん予防, 乳がん予防, コレステロール低下作用等の種々の薬効があると報告され, 植物エストロゲン類のリスク/ベネフィトの両面をよりよく評価するために, さらなる分子レベルの研究の進展が期待される。

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