日本油化学会誌
Online ISSN : 1884-1996
Print ISSN : 1341-8327
ISSN-L : 1341-8327
カルシウムイオンの洗浄への影響 第3報
α-スルホヘキサデカン酸メチルエステル (SFM) カルシウム塩析出に対する電解質の遅延効果
皐月 輝久永合 由美子吉村 晴夫
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 48 巻 2 号 p. 103-108,148

詳細
抄録
α-スルホヘキサデカン酸メチルエステル (SFM) カルシウム塩析出に対する, 共存するナトリウムイオンの効果についてモデル洗浄条件で検討した。ナトリウムイオンはカルシウムイオンに対して競争的にSFMに結合し, カルシウム塩析出を遅延させる効果があることが分かった。0.49mM SFM, 0.54mM塩化カルシウム, 1mM塩化ナトリウムを含むアンモニアバッファー系では, SFMの対イオンはほぼカルシウムのみであり, 会合体はCa/SFM=1/2で構成され電気的に中性であった。ナトリウムイオンの増加と共に, 結合するカルシウムは, 一部ナトリウムと置換し, また一部解離して, 会合体は電荷を持つようになった。これら荷電を持った会合体は, 溶液中で安定に存在し, 数時間は析出が認められなかった。さらに, 塩化ナトリウム濃度30mMと100mMの間では, 結合するカルシウム量の低下が著しかった。塩化ナトリウム濃度増加に伴い, 溶存状態の安定性と関係した会合体の構造に, 何らかの変化が起こったものと考えられる。
著者関連情報
© 公益社団法人 日本油化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top