日本油化学会誌
Online ISSN : 1884-1996
Print ISSN : 1341-8327
ISSN-L : 1341-8327
フォスファチジルコリン/セラミド3混合単分子膜および混合二分子膜中でのドメイン形成と相分離
井村 知弘酒井 秀樹山内 仁史貝瀬 千尋松本 睦良小澤 幸三横山 祥子阿部 正彦
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 49 巻 4 号 p. 373-377,391

詳細
抄録

L-α-ジパルミトイルフォスファチジルコリン (DPPC) と2S, 3S, 4R-2-ステアロイルアミド-1, 3, 4-オクタデカントリオール (Ceramide 3) から成る混合単分子膜中および混合二分子膜中における相互作用を表面圧測定, 原子間力顕微法 (AFM) および示差走査熱量測定 (DSC) により検討した。
表面圧10mN/mでマイカ上に一層に累積したDPPC/Ceramide 3混合単分子膜 (LB膜) のAFM画像には楕円形のドメインが示された。DPPCリポソーム溶液を用いて測定したDSC曲線からは, DPPC二分子膜の相転移温度がCeramide 3の添加によって高温側にシフトすること, およびDPPC単独系で見られたシャープなピークはDPPC/Ceramide 3混合系ではブロードなピークに変化し, 更にはCeramide 3のモル分率が高いものではDSCピークが分裂することが観察された。結論として, DPPC/Ceramide 3混合単分子膜中および混合二分子膜中において相分離が認められた。Ceramide 3は液体膨張膜の状態にあるDPPCと相互作用を起こすことによって, ドメイン形成を伴なう相分離を起こすことが示唆された。

著者関連情報
© 公益社団法人 日本油化学会
前の記事
feedback
Top