抄録
プラントの配管や圧力容器の接続部に使用されているフランジ継手用ガスケットには,従来石綿製品が多用されてきたが,2006年に施行された労働安全衛生法の改正により石綿を0.1%超える製品の製造及び使用が禁止となった.ここで,主に高温で用いられるガスケットをはじめとした一部のシール製品は代替が困難として2009年まで継続的に使用することが認められている.これら継続して使用が認められているシール製品の代替化において重要なのは,高温におけるシール製品の特性値の解明である.近年,さまざまな非石綿ガスケットが製造されているが,高温下における非石綿ガスケットの特性値はあまり解明されていない.本研究では,常温におけるガスケットの漏洩試験であるJIS B 2490を高温に拡張すること,及び100℃以上のアプリケーションにおける石綿ジョイントシートガスケットの代替化を目的に,プラントの運転時を想定した非石綿シートガスケットのシール性能の評価を行った.その結果,両ガスケットにおける高温シール性能の違いを明らかにするとともに,高温に拡張したシール性能試験の有効性を示した.100℃以上の高温下における両ガスケットの高温シール性能は“漏れがないとみなせるレベル”であった.