2024 年 17 巻 1 号 p. 53-62
移動式クレーン等の転倒災害は設置地盤の破壊に起因するものが多い.その安定を検討するために必要な強度定数等に関して,不飽和状態にある関東ロームの情報は少ないのが現状である.著者らは,関東ロームを用いて作製した模型地盤における支持力実験結果を考察するために,同一条件で作製された供試体を用いて一軸圧縮試験および不飽和三軸圧縮試験を実施した.その結果,一軸圧縮強さを用いて求めた極限支持力の解析値は実験値の半分程度と過小に評価された.一方,不飽和三軸圧縮試験による強度定数を用いて求めた極限支持力の解析値は,基礎幅の影響が考慮され,実験値との差は2割程度まで減少することがわかった.また,支持力実験と不飽和三軸圧縮試験による変形係数が同程度な範囲において極限支持力の解析値と実験値はほぼ等しくなり,基礎幅の増加による影響範囲は地盤の深度方向へ広がることが推測された.加えて,機械の安定性を左右する沈下量の予測にはポアソン比の選択による影響が大きいことを報告した.