労働安全衛生研究
Online ISSN : 1883-678X
Print ISSN : 1882-6822
ISSN-L : 1882-6822
原著論文
自治体職場へのOSHMS 導入
-導入途上の状況と今後の展望-
渡辺 裕晃甲田 茂樹佐々木 毅鶴田 由紀子伊藤 昭好原 邦夫堤 明純山口 秀樹丸山 正治
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 3 巻 1 号 p. 11-16

詳細
抄録

多様な業種を抱える地方自治体を対象に,労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)の中核を占めるリスクアセスメントを参加型志向の研修で行いながらOSHMS導入作業を進め,OSHMSの導入過程の課題と,もたらされた効果について検討した.某地方自治体(職員約2000名)の10の安全衛生委員会(14部署)を対象に,2007年6月~2008年6月にOSHMS概要・導入研修,2008年8月に質問紙によるベースライン調査,2008年8月~2009年5月に安全衛生委員会ごとのリスクアセスメント研修と,全体での産業ストレス対策のための研修を実施した.ベースライン調査結果から職場環境等が悪いと心理的・身体的ストレス反応が高いという関連が職場特異的に認められ,職場環境等-ストレス反応図がリスクアセスメント研修に用いるツールとして活用できる可能性が示唆された.ベースライン調査時点での職場環境等に対する対策や改善の実施率は現業系部署で高かったものの,産業ストレス対策のためのリスクアセスメント研修で提出された良好事例・改善提案は事務系部署からも数多く提出されたことから,一連の研修を実施したことにより安全衛生活動が活性化されたと考えられた.よってリスクアセスメント手法を取り入れた研修を実施することが実践的な安全衛生活動を進める上で効果的であると考えられた.OSHMS導入過程であるにもかかわらず労働災害発生件数は2年で半減した.

著者関連情報
© 2010 独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
前の記事 次の記事
feedback
Top