2020 年 40 巻 3 号 p. 364-368
野球投手はキャッチャーミットをしっかり見続けて投球するよう指導される.本研究は,「ミットをしっかり見る」教示前後の投球動作を動力学的に比較した.ハイレベル野球投手8名の投球動作をモーションキャプチャ・システムで計測し,動力学的パラメータを算出した.ミットをしっかり見る投球動作は,球速が低下し(P=0.002),体幹の開始タイミングが早かった(P=0.003).球速で正規化した最大肩内旋トルク(P=0.32)および最大肘内反トルク(P=0.19)に差はなかった.ミットをしっかり見る投球動作は,肩肘の障害リスクの変化に影響を示さず,さらに球速の低下を生じさせた.