抄録
本研究の目的は,利き手交換訓練を高齢者に行う際のポイントを,若年者の筆圧および握り圧と比較し明らかにすることである.方法は,タブレット上に縦に提示された8個の図形を,ペンで上から順になぞる課題を10回繰り返した.計測データは平均・最高・最低筆圧,ペンの柄の平均・最高・最低握り圧であった.高齢者と若年者の各回のデータを群間比較した結果,筆圧は描画の前半で高齢者が低かったが,ペンの柄の握り圧では高齢者が高かった.高齢者は加齢による影響で,ペン操作時にペンを握り込む特徴がみられた.これらに配慮し,ペンの柄を握りやすい太さや形状にするなど,問題を解消するためのプログラム開発の必要性を示唆する結論となった.