抄録
本研究の目的は,長期入院中の統合失調症者を対象にポジティブ作業評価(Assessment of Positive Occupation 15:APO-15)を精神科作業療法の介入に用いた内容を後方視的に報告し,その有用性を検討することであった.方法はAPO-15で評価を行い,その結果から判断された対象者の強みを基に幸福を高める作業への参加が習慣化できるよう支援した.その結果,クライエントは作業療法への参加が積極的となり,病棟内生活でも他者交流が増えるなどの幸福の促進に寄与した.APO-15は長期入院統合失調症患者の幸福の促進に貢献できるスクリーニングツールとしての有用性が示唆された.