2024 年 43 巻 1 号 p. 121-128
重度上肢麻痺に加え,種々の高次脳機能障害を呈する回復期リハビリテーション病棟(以下,回リハ病棟)に入院する事例に対して,集中的な上肢機能訓練と,注意・記憶機能の低下を主とした高次脳機能の特性に合わせた自主訓練と行動変容を促す手続きを工夫した.結果,入院過程の予後予測を上回る改善を認めた.上記より,回リハ病棟に入院する重度上肢麻痺と高次脳機能障害を呈する事例の退院支援に際して,集中的な上肢訓練ならびに,事例の高次脳機能の特性に合わせた自主訓練と行動変容手続きを工夫することは,上肢機能改善を図る際の一手段となる可能性がある.