抄録
インドネシアの7都市から13の計画的住宅団地から900世帯を対象として、(1)家庭生活における電力・燃料消費、(2)移動のためのガソリン等消費、および(3)建築材料の使用を通じての二酸化炭素排出量を現地調査により把握した。建築材料に関しては、生産過程による排出量を工場調査により把握した上で、単体における建材使用量を期待耐用年数で除して排出量を求める方法を採った。1970年代からの木材輸出と、セメントの国産化に伴い、木造から煉瓦造・ブロック造の恒久住宅への変化が生じた。過去の住宅政策による組積造系の恒久住宅の建設が、その文脈の中で進められてきた。将来の地球温暖化の緩和という新たな要請に基づく発展途上国の住宅・都市の将来像構築に向けて、代替的な提案形を評価するために、歩行圏の重視と公共交通機関の利用、冷房等の普及による電力使用増大を考慮した住宅・住環境設計、建築材料によるライフサイクル排出量と炭素蓄積等の評価尺度について検討を行った。