抄録
本研究では、変動する発注に対応する従業者をどこにどの程度用意しておくべきかという問題が、確率的発注に対する小売業者の在庫配置問題と類似の問題であることに着目し、ロジスティクスの分野で開発されている最適在庫配置モデルを基礎として対事業所サービス業支社配置のモデル化を行った。そして対事業所サービス業で特徴的な3つの立地パターンがおおむね再現できることによってモデルの妥当性を確認したのち、平均的な従業者分布である機械等修理業の立地環境の変化を複数想定し、それらの変化が支社配置に及ぼす影響についてモデルを用いて分析した。その結果、支社の立地は一層少数の大都市への集積が進む可能性が高いと推察された。さらに、支社配置モデルを拡張することで、関連他社とのつながりが本社の立地に与える影響を分析した結果、本社の商談相手となる他社とのやりとりが多いことが、企業の本社を東京23区に集中させていることが明らかとなった。