抄録
近年、危険建物化した空き家が多く発生しており、これに伴い地震・台風等の災害時における被害の拡大、老朽住宅の増加による環境悪化や危険な市街地の形成などが問題視されている。今後の縮退に伴う住宅地整備や地域再編を進める上で老朽危険建物化した空き家の整備は喫緊の課題と言え、空き家の解体除却に関する研究蓄積が必要とされている。そこで、本研究は呉市危険建物除却促進事業を対象に、本事業の実態を調査し、今後の空き家の解体除却事業の整備に資する基礎的知見を得ることを目的としている。具体的には、(1)呉市危険建物除却促進事業の実績の集計と考察、(2)事業認定者に対する空き家の解体除却事業についてのアンケート調査の実施と考察、(3)解体除却事業の改善課題の整理、という手順で行った。事業対象者の絞り込みについては、低所得者、斜面住宅地、狭隘な道路に接する敷地に建つ空き家を優先的に補助すべきという意見が多かった。今後は市の財源も縮小することが予想されるため、これらの評価を参考により効果的な事業対象や跡地利用の検討が必要である。