抄録
「地域らしさ」や「場所性」という地域独自の文脈を読み解くためには、地域における無数の「場所の記憶」を社会的に共有していく実践が必要とされる(後藤春彦、2007)。その代表的な取り組みとして「エコミュージアム」があげられる。しかし、掘り起こされた「場所の記憶」をどのように集合体として顕在化させるかに関する課題は未だに残っている(西村幸夫、2009)。そこで本稿では、千葉県館山市のNPO法人安房遺産フォーラム(以下、NPOフォーラムと省略)を中心に90年代より実施されてきた「館山まるごと博物館」の取り組みの中で、「場所の記憶」がどのようにつながっていき、市民たちはどのように関わってきたのか、すなわち「場所の記憶」の複合及び市民ネットワークの展開について明らかにする。