本研究は、高度経済成長期における非戦災復興都市の市街地形成経過を、用途地域の拡大や土地区画整理事業の伸展等、土地利用計画的観点から対象都市の多数同時による比較を通して、主に量的かつ場所的に明らかにし、加えてこの特性と当初線引き画定との関係や戦災復興都市との違いに言及することを目的とする。対象12市の実証的分析の結果、(1)用途地域指定の手法や区画整理の実施経過が都市ごとに違いが大きいこと(ただし戦災復興都市と比べその進展の程度が低調であること)、(2)戦後直後期から過大な用途指定がされた都市が多く、その更新がなされないまま線引き制度が導入されたこと、(3)区画整理のストックが総じて低く、スプロール市街地発生の懸念が強い都市が多いこと等を明らかにした。