抄録
我が国における車道幅員5.5m未満の道路での交通事故死者数は,年々減少傾向にあり,平成29年には昭和23年以降の統計で最小となった。しかしながら,歩行中・自転車乗車中の死者数は、全交通事故死者数の約半数を占めており、そのうち約半数は、自宅から500m以内の身近な道路で発生している.本研究では、生活道路の交通安全対策として各地で整備が進められている路側帯カラー舗装について,全国的に一貫した整備指標が定められていない中で,全国の自治体を対象としたアンケート調査より,生活道路における路側帯カラー舗装の整備状況を把握するとともに,路側帯カラー舗装の整備に対する自治体の意識を明らかにする.結果として、生活道路における路側帯カラー舗装の整備には,ゾーン30や安心歩行エリアなどのゾーン対策の導入が大きく影響していることが明らかとなった.また、生活道路における歩行者・自転車に関連した問題意識,及び自動車に関連した問題意識が高いと,間接的に路側帯カラー舗装の整備につながっている因果構造が示された.さらに,歩行者・自転車に対する安全対策の重要性が高いと,ゾーン対策を導入する傾向が高くなり,結果として路側帯カラー舗装の整備につながる因果構造も示された.