2018 年 53 巻 3 号 p. 357-364
本研究の目的は、数理的手法を用いて2つのまちづくり団体の役割構造を視覚化し、2つの団体を比較分析することによって各団体の特徴と課題を明らかにできるか検証することで、まちづくり団体の役割構造を解明するための手法開発を行うことである。本研究は、専門家によるまちづくり団体への支援として、役割構造を視覚化することにより、団体の課題特定とマネジメントの方向性を提示することができる点に意義がある。構成員の特性、性格、役割に関するアンケート調査を2つのまちづくり団体を対象に実施し、それらのデータを用いてコレスポンデンス分析とクラスター分析を行なった。その結果、布置図とレーダーチャートによって2団体の役割構造を視覚化し、各団体の比較分析によって役割分担の特徴と課題をある程度明らかにすることができた。ただし、対象とした2 団体共通の課題であった「主体的に企画を行う構成員がいないこと」を十分評価することができなかったことが今後の課題である。