2018 年 53 巻 3 号 p. 792-798
本論文では,2016年の鳥取県中部地震を事例として,被災者が災害ボランティアセンター(災害VC)に依頼したニーズを分析し,ニーズが発生する要因と発生するタイミングを明らかにした.被災者のニーズを専門的な作業が必要なニーズと一般のボランティアが対応できるニーズに分類し地区別に集計した上で,それぞれの発生要因について,地区の被害状況,災害VCまでの距離,高齢化率,自主防災組織の活動率を取り上げ,ポアソン障壁モデルを用いて推計を行った.その結果,依頼の有無については,専門ニーズは被害状況や距離が影響を及ぼす可能性が,一般ニーズは被害状況,距離,高齢化率,自主防災組織の活動率が影響を及ぼす可能性が示唆された.依頼のタイミングについては,距離を除く全ての変数が影響を及ぼす可能性が示された.更に,年齢と天候状況に着目した分析を行った結果,専門ニーズは高齢であるほど依頼するタイミングが早く,一般ニーズは,高齢であるほど遅いことが明らかになった.また天候が悪いと依頼をするタイミングが早まることが分かった.