日本土木史研究発表会論文集
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寒風山からの湧水を利用した水利開発事業
八郎潟南西部・鳥居長根地区への引水・開墾と渡部斧松
堀野 一男
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キーワード: 八郎潟南西部, 渡部堰, 斧松
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1988 年 8 巻 p. 160-167

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抄録
八郎潟南西部に位置する鳥居長根地区は、近世前期までは “狐狸の棲み家” と言われた低湿原の原野であり、開発願望の地ではあっても対象の地とはなり得なかった。その最大の課題は灌漑用水源の確保であった。文政2年 (1819)、渡部斧松はその叔父惣治と相談のうえ、寒風山から流れ出る豊富な伏流水に着目し、その利用を思い立ち開発を決意した。渡部家は檜山城下 (能代市) 松野組下の足軽であり生活も大変であったと思われるが、一家の財産すべてを傾け、八十余両の開発資金を元手に、延長二里約7.86Kmに及ぶ難工事の末、水路を完成させた。
渡部堰の開削は近世後期開発に於ける全国的な例と同様それまでの開発技術の延長線上ではあったが、流し掘り工法によるあらたな土地の造成という創造的な土木技術を生み出した点や、開発が全国的には藩直属の管理のもとで行われたり、大きな資産家の手になるものが多いなかで、辛労免の制度を活用しながら、開発資金を苦労しながら調達した点などは土木工事史上も評価されなければならない。
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