日本土木史研究発表会論文集
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野蒜築港と安積疏水の歴史的変遷
東北開発の先駆けとなった明治プロジェクト
須田 熈小林 眞勝
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1989 年 9 巻 p. 155-163

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抄録
明治政府は全国統治と富国強兵の一環として東北開発の方針を採りあげ、その結果、東北地方において7大プロジェクトが計画された。その内宮城県の野蒜築港、福島県の安積疏水、山形県の道路建設が先行された。これらのプロジェクトは、東北地方の河川を利用した内陸水運網をつくり、その結接点に国際貿易港として野蒜港を位置づける壮大なものであった。野蒜築港と安積疏水の二大プロジェクトは東北開発の先駆けとしてその重要性が認識されていたが、野蒜築港は大自然の猛威の前に僅か2~3年の短命で水泡と化し、幻の港となったのである。その後、野蒜村も再起することなく寒村に戻った。安積疏水は荒蕪だった原野に通水され郡山村を核にして点在していた開拓村の発展に寄与し、この疏水なくしては現在の郡山地域の発展を語れないものになった。しかし、この野蒜築港と安積疏水は時代的にも又、ファン・ドールンといった登場人物も共通しているが、そのプロジェクトに対する地域住民の考え方には異なるものが見られる。このような大プロジェクトの成否は土木技術だけでなく、住民のプロジェクトに対する熱意も必要であることが、この2つのプロジェクトの明暗を分けたといっても過言ではないと思われる。
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