抄録
3~7世紀にかけて築かれた我が国の古墳は、全国で15万基以上確認されていて、関東地方に限定しても千葉県で約13, 000基、群馬県で約10, 000基など大小様々の非常に数多くのものが存在する。最近は発掘調査の成果も蓄積され、古墳研究は著しい進展が認められる。一方古墳築造は大土木工事であるが、古代にこれだけの工事が成されたことに対する (士木) 工学的視点からの研究報告は非常に少ない。本報告では文献資料調査と現地踏査により、古墳研究の最新の趨勢をとりまとめた後、(1) 当時の古墳技術に対して現時点で想定されている技術の妥当性などに関する考察 (2) 古墳の築造企画に対して形状寸法に関する定量的データを用いた解析手法に対する考察 (3) 石室の築造技術にもとづいた時代区分に関する考察 (4) 古墳の調査・修復復元などに対する理系研究者の協力領域などに関してとりまとめた。なお関東地方に限定したのは、古墳にはその地域差があり、またその数が膨大で今回は関東以外の地域まで十分調査することができなかったからである。古墳などの文化財の研究に当り、工学的視点からの調査研究も要望されており、興味深い問題が山積していることが分った。