都市拠点開発は、工場等の跡地の有効活用を図ろうとする企業の開発動機に端を発することが多い。各地権者は互いの便益に影響を与え合うことから集団的な意思決定を経て最も合理的な協同体制が形成されるものと考えられる。しかし主体間では利益得失の差異により利害対立が生じ、この過程は不安定になりやすい。開発の社会的影響は大きく、公共がこの過程に調整を行う必要性が認められる。本稿ではそのための計画情報を得ることを目的とし、複数地権者の行動決定過程を協力ゲーム理論を用いてモデル化し、仮想地区に対する思考実験を行う。これにより開発地や地権者の特性が、形成される協同体制に与える影響を分析する。