日本世代間交流学会誌
Online ISSN : 2758-5905
Print ISSN : 2185-7946
囲碁を活用した世代間交流プログラムの開発と評価
世代間交流観察スケール「CIOS-E、CIOS-C」を用いて
飯塚 あい倉岡 正高鈴木 宏幸小川 将村山 幸子安永 正史藤原 佳典
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2018 年 7 巻 1 号 p. 61-68

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抄録

本研究では、児童の教育・文化的環境づくりと高齢者の健康増進を目的に囲碁を活用した世代間交流プログラム「iGOこち」を開発し、プログラム実施中の児童と高齢者の行動の変化を「評価することで世代間交流プログラムとしての有効性を検討した。プログラムの内容は、日本棋院に所属するプロ棋士による基本的ルール等の講義、1対1の対局、高齢者と児童がペアを組み協力し合う練習問題、チーム戦(ペア碁)とした。対象者は東京都板橋区内の小学校の学童保育に登録している児童14名と、小学校近隣に住む高齢者15名(76.9±5.7歳)であった。週1回1時間のプログラム実施時に、世代間交流観察スケール(CIOS-E CIOS-C)を用い参加者の行動の変化を評価した。その結果、CIOS-Cの第Ⅱ因子「尊重」において、プログラム後半で有意に得点が向上する傾向がみられ、児童は高齢者への尊敬と思いやりの心を養い、主体的に行動するという変化が示唆された。プログラムを通じて両世代の交流は深まり、対象者から肯定的な意見が多く得られた一方で、高齢者からは否定的な意見もあり、今後実施の頻度や期間を再検討する必要がある。

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© 2018 日本世代間交流学会
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