糖尿病有痛性神経障害(PDN:painful diabetic neuropathy)は,糖尿病患者の3割に見られ,QOL(quality-of-life)を低下させるが,積極介入には財政的な課題も付随し,介入にはより費用対効果に優れた薬剤選択が求められる.本研究では諸外国におけるPDN治療の費用効果分析の結果と課題を整理し,国内で実施する費用対効果分析の方向性を考察することを目的にスコーピングレビューを行った.検索にはMEDLINEとEmbase用い,2005年から2020年までの829報から10報を選択して評価を行った.その結果,PDN治療の費用効果分析では着目する薬剤の特性(疼痛緩和の定義や有害事象など)により分析モデルの構造や効用値の設定が異なり,結果も異なっていた.疼痛強度に基づく費用効果分析ではプレガバリンの優位性が示されたが,疼痛以外の要素のQOLへの影響や長期に渡るPDN治療の多様性は反映されていなかった.今後の費用効果分析には,分析を踏まえた臨床試験で,介入効果や有害事象,付随する効用値やQOLを把握し,日常診療の実態把握の拡充とその過程の透明性確保が望まれる.