くすりと糖尿病
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原著論文
糖尿病治療薬のRMP(医薬品リスク管理計画)で規定された患者向け資材におけるスティグマを生じやすい用語の使用状況調査
藤井 博之森 保道
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ジャーナル 認証あり

2024 年 13 巻 2 号 p. 126-131

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抄録

厚生労働省は製薬企業に対し医薬品リスク管理計画(以下,RMP)の策定を求めている.製薬企業は医薬品が有するリスクの最小化を視野に入れRMPで規定された患者向け資材を作成することがある.RMPの実施は医薬品の承認条件であるため,当院薬剤部においても関連の資材を積極的に活用しながら,適正使用のための服薬支援に努めている.近年は糖尿病を有する患者のスティグマが注目されており,医療従事者から患者へ発信する言葉にも十分な配慮が求められている.今回の調査で,RMPで規定された患者向け資材(対象は糖尿病治療薬)の66.7%において1語以上のスティグマを生じやすい用語が掲載されており,2種類以上の該当用語が掲載されていた資材は50%に及んでいた.医療従事者が発する言葉と,患者向け資材で使用される用語に乖離のないことが望ましいと考えられるため,我々医療従事者は製薬企業に対して,より一層の連携とアプローチを通じ双方向に理解を深め,糖尿病を有する患者のスティグマの撲滅に向けて一歩一歩取り組みを進めていく必要性が見出された.本報告はRMPで規定された患者向け資材をスティグマという観点で調査した初めての報告である.

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© 2024 一般社団法人日本くすりと糖尿病学会
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