抄録
チャネル諸島の英語音声に関する報告は少ない。Ramisch (1989, 2004) などの先行研究を基にして調査用語彙リストを作成して現地調査を実施した。現地で収録した音声はフォルマント周波数などの分析とその正規化をして作図した。それに基づく考察の報告である。現在のジャージーとガーンジーの英語音声の最新報告となる。先行研究と変わった点,変わらない点,そして先行研究には言及されなかったジャージー英語とガーンジー英語の相違点を指摘する。概して言えば,イギリス全土に広がっている反方言化の進行がチャネル諸島にも及んでいることの証明であるが,/l/ の母音化とそれに伴う先行母音の後舌化などはガーンジーの方が顕著であった。