抄録
目的 訪問看護ステーションを利用している要介護高齢者の在宅療養の破綻に関わる要因について検討するために,入院・入所に関わる要因を明らかにする。
方法 1993年 4 月から1998年 3 月までの 5 年間に S 訪問看護ステーションを利用した要介護高齢者395人を対象に後ろ向きコホート研究を行った。ベースラインを訪問看護ステーションの利用時とし,追跡期間を利用開始から 6 か月,1 年,2 年間とした。
結果 1. 6 か月間の追跡では,悪性新生物に罹患していることと ADL 障害が軽度であることが,1 年間,2 年間の追跡では ADL 障害が軽度であることが入院・入所のリスク要因であった。
2. かかりつけ医が診療所の医師である場合は総合病院の医師である場合よりも追跡期間が,6 か月,1 年,2 年のいずれの場合においても在宅療養は継続していた。
3. ショートスティの利用が必要と訪問看護婦が判断したケースでは,追跡期間が,6 か月,1 年,2 年のいずれの場合においても在宅療養の継続は困難であった。
結論 ADL 障害は高度であるよりも軽度であることの方が入院・入所のリスクを高めており,在宅を継続するための支援サービスは要介護高齢者の ADL 障害だけで考えてはいけない。
在宅療養の継続のためには身近な診療所の医師をかかりつけ医とすることの必要性が示唆された。