日本公衆衛生雑誌
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公衆衛生活動報告
姫路獨協大学における学生喫煙実態調査(2000年度)
宮井 正彌
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2002 年 49 巻 5 号 p. 437-446

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抄録

目的 姫路独協大学における学生に対する禁煙キャンペーンを行うための準備として,学生の禁煙に対する実態調査を行った。その結果を報告する。
方法 対象は本学に籍を置く全学部学生と大学院生である。これらの対象者に対して2000年 4 月の身体検査時にアンケート用紙を配布し,その場で書き込ませて回収するという方法を用いた。質問項目は全員を対象としたものの他に,喫煙している者(喫煙者),かつて喫煙したが現在はしない者(断煙者),喫煙しない者(無煙者)を対象にしたものを設け,三者それぞれの意見を聞き,その相違について検討した。
結果 1) 喫煙した者の44.0%が17歳までに喫煙を開始していた。
 2) 無煙者は喫煙者にくらべ,喫煙について批判的であり,断煙者の態度は両者の中間に位置した。
 3) 吸い始めるきっかけには,積極的な理由はなく,ただなんとなく,が多く,友人先輩が吸う,がこれに続いた。
 4) 喫煙者は,日本の喫煙率を下げるべき(66.3%),喫煙の人体への影響を国民に知らせるべき(82.1%),学内の煙草自動販売機の撤去(17.7%),にそれぞれ賛意を示した。
結論 1) 吸い始めるきっかけには,積極的な理由はなく,ただなんとなく,が多かった。しかし,友人先輩が吸う,がこれに続き,また,家族のなかの誰かが喫煙することが本人の喫煙に影響を与えていることから,周囲の影響も考えられる。
 2) 喫煙者は「吸い過ぎなければ大丈夫だろう」という意識を持ちつつ,法律面ならびに健康面でよくないということを知り,気にしながら吸い続け,そして喫煙はやめたい,やめるべきだ,と考えていることがうかがえた。

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© 2002 日本公衆衛生学会
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