日本公衆衛生雑誌
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地区医師会員を登録対象とした感染症情報受発信システムの構築と運用
大熊 和行寺本 佳宏福田 美和高橋 裕明中山 治和田 文明
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2002 年 49 巻 5 号 p. 456-462

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抄録

目的 感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律に基づく感染症発生動向調査情報を速やかに医療現場に配信し,医療現場の医師に情報交換の場を提供することにより,感染症発生動向調査情報が医師の診療により一層役立つものとするため,インターネット・E-メールを用いた情報受発信システム(メーリングリスト)を構築し,その有用性と運用方法の検討を行った。
方法 三重県下の地区医師会である(社)四日市医師会の全会員を対象として,感染症情報メーリングリストへの登録意向調査を行い,登録希望のあった会員をメンバーとしてメーリングリストを構築した。約 3 か月の運用を行ったのち,メーリングリストの有用性と運用方法について,質問紙法による郵送調査を行った。
結果 医師会の全会員474人を対象としてメーリングリストへの登録意向調査を行ったところ,回収数は173人(回収率36.5%)で,メーリングリストに登録すると回答した医師は73人(後に 2 人増の75人)であった。また,メーリングリストへの登録者75人を対象として,その有用性と運用方法の郵送調査を行ったところ,回収数は46人(回収率61.3%)であった。当研究部が発信する感染症週報および月報が有用と回答した登録者は26人(56.5%),情報交換の場として有用と回答した登録者は22人(47.8%)であった。
結論 メーリングリストは,感染症発生動向調査事業の充実,特に,地域を細分化した詳細情報の提供や地域の医療現場からのコメント情報の提供等に有用であることが示唆された。

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© 2002 日本公衆衛生学会
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