日本公衆衛生雑誌
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原著
写真法による食事調査の観察者間の一致性および妥当性の検討
鈴木 亜矢子宮内 愛服部 イク江上 いすず若井 建志玉腰 暁子安藤 昌彦中山 登志子大野 良之川村 孝
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2002 年 49 巻 8 号 p. 749-758

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抄録
目的 食事の写真から栄養素等の摂取量を推定する食事調査法(写真法)の観察者間の一致性,および妥当性を日常の食事について検討し,写真法の実用性を評価した。
方法 栄養学専攻学生の家族25人(男13人,女12人,平均年齢±標準偏差:47.3±5.6歳)において,写真法および基準となる秤量法による食事調査を 1 人あたり 4 日間実施した。写真法ではレンズ・フラッシュ付きフィルムで撮影された同一の写真から,2 人の観察者が独立に食材料の種類と重量を推定した。それをもとに食品成分表を用いてエネルギーおよび各栄養素の推定摂取量を算出した。観察者間の一致性は推定栄養素等摂取量の 2 人の観察者間の比と相関,および変動係数で,妥当性は 2 人の観察者の推定摂取量を平均した値と秤量法による摂取量の比と相関,変動係数によって検証した。分析は 1 日単位(25人×4 日=のべ100日分)と個人単位(25人分)で行った。写真法による食事調査に要する費用についても試算した。
成績 観察者間の一致性について,写真法による 1 日あたり栄養素等推定摂取量(平均値)の 2 人の観察者間の比は0.89(マグネシウム)~1.14(レチノール),中央値は1.03であった。両者間の相関係数は 1 日単位で0.65(飽和脂肪酸)~0.92(ビタミン C),中央値は0.79,個人単位では0.65(飽和脂肪酸)~0.96(ビタミン C),中央値は0.78であった。変動係数の範囲は 1 日単位で7.9%(エネルギー)~23.8%(カロテン)(中央値13.3%),個人単位で5.2%(エネルギー,マグネシウム)~17.8%(カロテン)(中央値8.8%)であった。妥当性については,1 日あたり平均摂取量の両方法間の比(写真法/秤量法)が0.96(カリウム,飽和脂肪酸)~1.11(レチノール,食塩),中央値は1.00であった。両方法間の相関係数は,1 日単位で0.40(食塩)~0.82(ビタミン C,レチノール),中央値は0.67,個人単位では0.47(食塩)~0.90(ビタミン C),中央値は0.74であった。また変動係数は,1 日単位で10.5%(エネルギー)~39.6%(カロテン),中央値は16.9%,個人単位で6.1%(蛋白質)~20.6%(カロテン),中央値は11.2%であった。費用は25枚撮りレンズ付きフィルムを用いた場合,1 食あたり105円となった。
結論 栄養素等の種類によって観察者間の一致性,妥当性は一様ではないが,全体としては良好であった。外食などへの対応に課題が残るものの,写真法は食事記録法として十分に実用的と考えられた。
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© 2002 日本公衆衛生学会
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