日本公衆衛生雑誌
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原著
男子体育学部学生の朝食の欠食要因
横山 公通宮崎 康文水田 嘉美松木 秀明岡崎 勲
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2002 年 49 巻 9 号 p. 902-910

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抄録
目的 大学で体育学を専攻し,勉学に加えてスポーツ競技に参加している学生の食生活については,適切な自己管理が行われていると想定されるため報告は少ない。本研究においては,これら男子学生の朝食の欠食に関する要因を追求し,併せて体脂肪率,血圧,血液生化学所見などの健康指標との関連について検討した。
対象および方法 対象者は T 大学・体育学部 1~4 年のボランティアで,合計86人である。このうちスポーツクラブ所属者は58人,無所属者は28人であった。調査には①食生活状況調査票および,②食生活評価のための成人一般向け食習慣調査票を含む自己記入法によるアンケートを用いた。また,同時に血圧,体脂肪率の測定および採血を行った。
結果 朝食の欠食率はスポーツクラブ所属群36.2%,無所属群46.4%であり,両群とも高値を示した。これらの高い朝食の欠食率は食事提供の有無と関連していた。すなわち,朝食を欠食し,食事時間が不規則で,牛乳や乳製品飲料,味噌汁を飲まない者は,「家族・寮食」群のように食事提供を受けることのできる者に比べて,食事提供のない「自炊・外食」群に多く存在した。また,「自炊・外食」群は「家族・寮食」群に比べて,成人一般向け食習慣調査票による評価成績においても,明らかに評点が低く,加えて血液生化学検査のうち,血清尿酸値,血清フェリチン値および血清トリグリセリド値が高値を示した。
結論 男子学生では,食事が提供される環境にあるか否かが,朝食の欠食や食事時間の規則性に強く影響する要因の一つとなると考えられた。好ましくない食生活に加えて,激しい筋運動を行っているスポーツクラブ所属群の「自炊・外食」者に対しては,適切な食生活指導が必要である。
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© 2002 日本公衆衛生学会
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