日本公衆衛生雑誌
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公衆衛生活動報告
保健師・助産師による新生児訪問指導事業の評価 育児不安軽減の観点から
佐藤 厚子北宮 千秋李 相潤面澤 和子
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2005 年 52 巻 4 号 p. 328-337

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抄録

目的 本研究は母親の育児不安の実態を把握し,新生児訪問指導事業(以下,訪問指導)の評価を育児不安軽減の観点から行い,今後の課題を得ることを目的とした。
方法 対象者は H 市保健センターの 4 か月健康診査に来所した母親であり,児の出生時体重が2,500 g 以上のものとした。研究期間は平成15年 1 月から 3 月までの 3 か月間であり,自記式質問紙による調査を行った。
結果 訪問指導に対する対象者の評価は高く,育児不安軽減につながっている重要な事業である可能性が示唆された。多くの対象者が訪問指導を受けたことで育児方法が分かり,指導者と話をして気持ちがすっきりした,育児について心配になったとき相談できる場所があることが分かったと答えた。育児不安があると答えた対象者は全対象者の78.1%,訪問指導を受けた対象者は54.4%であり,育児不安がある対象者の方が多く指導を受けていた。育児不安内容は体重が増加しているか,ミルクの量は適切かで訪問群・非訪問群に有意差があった。育児の手伝いは大多数が夫であった。夫の手伝いがあっても育児不安がある対象者が有意に多かった。育児書や雑誌から情報を得ているとした対象者は育児不安がある傾向があった。訪問指導や医療機関から情報を得ているとした対象者は少なかった。訪問指導を受けなかった理由は H 市からの連絡がなかったと答えた対象者が多かった。
結論 H 市における訪問指導は対象者のニードに適合しており,その目的をほぼ達していると考えられる。対象者の事業評価は高く,育児不安軽減に効果的である可能性を示唆した。今後の課題として事業アピール方法の改善が望まれる。

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© 2005 日本公衆衛生学会
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