日本公衆衛生雑誌
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地域住民の生活満足感と生活習慣との関連
中谷 素子東 あかね池田 順子中澤 敦子田中 恵子入江 祐子松村 淳子杉野 成小笹 晃太郎渡邊 能行
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2005 年 52 巻 4 号 p. 338-348

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抄録

目的 地域住民の生活満足感は,主観的健康感と関連があることが示されている。主観的健康感が良い場合や良くない場合に,生活満足感の良否がどのような生活習慣と関連するのかを,性別年齢階級別に明らかにすることを目的とした。
方法 平成10年11月に実施した,京都府民健康づくり・栄養調査の有効回答者である15歳以上の男女4,746人を解析対象者とした。生活満足感と主観的健康感の回答分布を観察した。主観的健康感の良い「健康群」と良くない「非健康群」とで層化して,生活満足感と生活習慣との関連を,クロス集計し,オッズ比とその有意性を算出して検討した。なお,解析はすべて性別年齢階級別に行った。
成績 1. 性別に年齢階級ごとに全体を100%としてみたところ,生活満足感の回答分布では,男女とも「大変満足」と「まあまあ満足」を合わせた割合は加齢とともに増加傾向にあり,主観的健康感の回答分布では,男女とも「大変健康」と「まあ健康」を合わせた割合は加齢とともに減少傾向にあった。生活満足感と主観的健康感の良否を組み合わせた 4 群の回答分布をみたところ,「健康-非満足群」は若年者に多く,「非健康-満足群」は高齢者に多かった。
 2. 個人の特性として,職,独居,介助,疾病,BMI,健康づくりへの関心についての 6 項目と,生活習慣として朝食,夜食(男性),間食(女性),家族そろっての夕食,野菜たっぷり,定期的運動,自由時間,飲酒,喫煙に関する 8 項目について検討結果を示した。健康群,非健康群ともに,健康に好ましい生活習慣の保有割合は男女とも年齢階級が高くなるとともに増加していることが多かった。
 3. 健康群でも非健康群でも,「家族そろっての夕食が週 3 回以上」,「定期的運動月 1 回以上」などの健康に好ましい生活習慣の保有割合が,多くの年齢階級で満足群の方で有意に高かった。
結論 主観的健康感の良否に関わらず,生活満足感の良い人は,健康に好ましいいくつかの生活習慣をもっていることが多かった。健康に好ましい生活習慣の保有割合は加齢とともに増加していて,生活満足感の良い人の分布が加齢とともに増加していることに影響していると考えられた。

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© 2005 日本公衆衛生学会
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