日本公衆衛生雑誌
Online ISSN : 2187-8986
Print ISSN : 0546-1766
ISSN-L : 0546-1766
総説
Health Impact Assessment の基本的概念および日本での今後の取り組みに関する考察
藤野 善久松田 晋哉
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 54 巻 2 号 p. 73-80

詳細
抄録
 政策,施策,事業の計画段階において,将来それらによって起きうる健康影響が見落とされることはよくあり,その結果,健康に直接関連しないと思われていた政策が,重大な健康影響を与えた事例は過去に多く経験されてきた。このような認識が明らかになるにつれ,政策,施策,事業の計画時には,これらの健康影響を予め評価して,健康影響を是正するような取組みが国際的にも重要視されるようになってきた。このような背景のなかで,多くの政府や EU または WHO 等の国際機関において Health Impact Assessment(HIA:健康影響評価)と呼ばれる手法が広く取り入れられるようになった。HIA は,意志決定を支援するためのツールであり方法論のことで,WHO によると「政策,施策,事業が潜在的に集団に与える健康影響や,集団中の属性による影響の違いなどについて判断するための一連のプロセス,方法,およびツールのこと」とある。近年では,新空港建設,ダム建設,雇用政策,および住宅供給政策など様々な分野において HIA が実施されている。しかしながら,国内においては HIA の情報はほとんどなく,公衆衛生の専門家や政策関係者においても認識は少ない。本稿では,HIA の概念,理論を紹介するとともに,国内において HIA が普及するための考察を行った。
著者関連情報
© 2007 日本公衆衛生学会
次の記事
feedback
Top