日本公衆衛生雑誌
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研究ノート
幼児の母親における幼少期の食生活と現在の偏食との関連
木田 春代武田 文朴峠 周子
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2012 年 59 巻 2 号 p. 112-119

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抄録

目的 幼児を持つ母親の偏食の状況について嫌いな食品の摂取行動と食物摂取の関連性を明らかにするとともに,嫌いな食品の摂取行動が自身の幼少期の食生活とどう関連しているかを明らかにする。
方法 A 県 B 市の公立幼稚園15か所の園児1,145人の母親を対象に,無記名自記式質問紙調査を行った。質問項目は,属性,嫌いな食品の摂取行動,嫌いな食品の数,食物摂取頻度,幼少期の共食者,幼少期に受けた食教育とした。回収した797部(回収率69.6%)のうち,嫌いな食品の摂取行動についての回答があった685人(有効回答率59.8%)を分析対象とした。
結果 嫌いな食品を「食べる•たぶん食べる」者は「食べない•たぶん食べない」者よりも,嫌いな食品の数が少なく食物摂取状況が良好であった。幼少期に受けた食教育16項目との関連をみたところ,下位の 4 項目で有意な関連が認められ,食事づくりを手伝った/おかずは一人分ずつ盛りつけられていた/食事時はテレビを消していた/子ども向けに味付けや切り方が工夫されていた者は,嫌いな食品を食べる傾向にあった。
結論 幼児を持つ母親の嫌いな食品の摂取行動は食物摂取状況と関連しており,幼少期の家庭において子どもが食べやすい食事が出され食事に集中しやすい食生活環境が整っていたかどうかと関連していたことから,これらの食教育を推進する必要性が示唆された。

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© 2012 日本公衆衛生学会
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