抄録
目的 統合失調症の本人を治療につなげる際の行政専門職による家族への支援内容を明らかにすることを本研究の目的とした。
方法 質的記述的研究法を用いた。協力者は,関東近郊の保健所および市町村に所属する精神保健福祉士と保健師で経験年数 5 年以上の者10人である。半構造化面接を行い,統合失調症未治療•治療中断の本人の家族から受診に関する相談を受けて本人と家族を支援した結果,本人が医療保護入院となった支援事例のうち,適切に家族を支援できたと自らが判断した一事例をあげてもらい,その支援内容をとくに家族への支援に着目して質問した。逐語録から家族への支援という視点で意味のまとまり毎にコード化し,コードの類似性•相違性を比較しながら,抽象度を上げてカテゴリ化を行った。
結果 統合失調症の本人を治療につなげる際の専門職による家族への支援内容として,6 つのカテゴリ【介入の見通しを立てる】,【家族と相談関係を築く】,【家族の決心を待つ】,【家族による説得を見守る】,【入院までの体制を整える】,【入院後も本人と家族を支える】と19のサブカテゴリが抽出された。
結論 専門職は,統合失調症の本人と家族の長期的な家族関係と本人の予後への肯定的影響を見据えて,家族が本人に受診を説得することおよび家族が本人を入院につなげる決心をすることを支援しており,これらは重要な支援であることが示唆された。本研究の結果は,統合失調症の本人を治療につなげる際の専門職による家族への支援の質を高めることに寄与できる。